ホスピタウン便り |
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VOL50 (平成19年10月) |
患者と共に歩み、患者と共に学ぶ
63歳になって出来る医療
ホスピタウン便りvol50私は、昭和44年に鳥取大学医学部を卒業して以来、医師として仕事をしてきました。約40年近くですから、そこそこベテランの医師だと自分では思っております。
しかし、卒業して、10年、20年の若いときはもちろん、45歳で開業したときも知識、技術優先の医療であり、高齢の患者さんの気持ちもわかりかねていました。また、高齢者はどのような治療やリハビリで、どのような経過を辿るという予測に対する、十分な知識もありませんでした。要するに、今思えば、急性期医療の延長の医療、若い人の医療の延長の医療をしていたと思います。
私、そして真誠会自体が、高齢者医療に踏み込んだのは平成7年老人保健施設ゆうとぴあを開設し、また平成9年に鳥取県で初めて診療所としての通所リハビリテーションを開始したことで、本格的な高齢者に対する医療を始めたのです。
その後は、私は患者さんとともに年を重ねました。
あれから10年、患者さんが精神的、肉体的に老化されたり、また力強く病から立ち直ったり、不自由な体にもめげずに黙々と努力を重ねられる姿を見ることにより、私は患者さんと共に歩み高齢者医療を学んできました。
もちろん開業して来年で20年になりますから、患者さんの中には今の私の年齢である63、4才であった患者さんが、83、4歳になっておられますから、現在の私のこれから20年先の生きる姿を見させていただいた感じでもあります。
そして、私が最近ますます強く感じるのは、医学的な治療、管理以上に大切なことは、個人のリハビリテーションに対する強い意欲と、それを支える精神力の大切さです。その精神力を引き出し、励まし、支え、共に歩こうとする気持ち、その患者さんに対する心からの愛情と、いとおしむ気持ち、それが現代の医療と癒合したものとして提供出来ること…これが63歳になって出来る医療だと感じています。
日野原重明先生が尊敬されるウィリアム・オスラー博士の教えに次のような言葉があります。
我々は患者と共に 学びをはじめ、
患者と共に 学びをつづけ、
患者と共に 学びをおせる。
Sir William Osler
ここで言う我々とは、医師のことです。そうです、私は患者さんと共に歩み、患者さんと共に学び、患者さんと共に人生を終えるのです。
私は患者さんと共に人生を歩んでいる一人の人間なのです。ホスピタウン代表 医療法人真誠会 理事長 小田 貢
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